成年被後見人の不動産を売って介護費用にあてられるか?

町田の相続,遺言,成年後見,会社設立の専門家,司法書士の佐伯知哉です。

さて、表題の件ですが、比較的良く受ける質問です。

結論としては、可能でありますが、100%の保証はできません

意思能力がある?ない?不十分?

まず痴呆症精神疾患などで、意思能力が不十分であったり、欠けている場合はその方は単独で有効な法律行為ができません。

その為、このような方の為に、成年後見人保佐人補助人といった人が、法律で定められた申立人より家庭裁判所に申し立てられることによって、裁判官の職権で選任されます。

そうすれば、選任された成年後見人等が被後見人等に代理もしくは同意することによって、有効な法律行為ができるようになります。

有効な法律行為をいうのは、例えば、単独で売買契約や賃貸借契約などを締結し、それが後に無効であったり取り消されたりしない契約のことです。

意思能力が欠けている場合にはその法律行為は原則として無効になります。意思能力が不十分な場合は取り消すことができる行為となることもあります。

もっとも、被後見人となっても日常品の購入などは被後見人等が単独ですることはできます。

さすがに、パンを一つ買うのにも、成年後見人等が代理したり同意がないと、その契約が取り消されうる可能性があるとすれば、相手方もおちおち商品を売ることができないからです。

成年後見人がいれば不動産を有効に売却できるのでは?

上記のように、成年後見人が被後見人を代理することによって有効に法律行為、今回のテーマでいけば、成年後見人が被後見人の不動産を代理で売却することは、有効な契約であり、何らの問題もないように思えます。

しかし、成年後見人は被後見人の財産を維持・管理し、被後見人の財産を守ることが職務です。

さらに民法第859条の3で、成年被後見人の居住用不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要なことが明記されています。

よって、被後見人の不動産を売却するにあたって、今回のテーマのように被後見人の介護費用を捻出する為に必要であり、かつ、居住用不動産(被後見人が現に住んでいるか、施設に入院している場合でも退院した場合に住むこととなる不動産)であれば家庭裁判所の許可が下りれば、売却することは可能でしょう。

逆に、被後見人の介護費用を不動産を売却しなくとも捻出できる場合や被後見人の財産を使いこむ恐れがあるのであれば、家庭裁判所の許可は下りないでしょうし、成年後見人として被後見人の財産を維持・管理することが目的とは思えないので、不動産の売却はしてはいけません。

今回のテーマの答えとして、100%の保証ができないと申し上げたのは、こういった理由からです。

それでもやっぱり精神的、肉体的、家計も厳しい

成年後見人に就任されているのは、現在では親族の方がほとんどです。

被後見人の介護も含めてのことですから、心身ともに負担は大きいかと思います。

また、介護費用などもかなり家計を圧迫することになっているかと思います。

そのようなケースでは、被後見人が不動産を持っているのであれば、売却することも考えた方が良いかもしれません。

こういったケースでは、被後見人にもさることながら、そのご家族まで負担が大きすぎるからです。

被後見人の不動産を売却する際に、判断に迷うようでしたら、一度当事務所にご相談いただければ、適切な回答をさせていただきます。

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