相続土地国庫帰属制度について

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2023年4月27日から施行されることになった相続土地国庫帰属制度。

先日、市役所で無料相談を行ったのですがタイムリーにご相談もありました。

相続土地国庫帰属制度とこの方法以外に不要な土地(いわゆる負動産)を手放す方法はあるのかについてを解説します。

相続した土地の国庫帰属について

法務省HPよりhttps://www.moj.go.jp/content/001376268.pdf

現在、日本全国で、なんと九州の面積ほどの土地が所有者不明状態となっていて、大きな社会問題になっています。

2024年4月に施行される相続登記の義務化もこの社会問題解消の一手なのですが、相続登記が促進されてもそもそも不要な土地については相続したとしても維持管理が難しく、手放したい人が多いのも現状ではないでしょうか。

 

いらない土地を相続した人には何とも魅力的な制度ですが、実際のところ

使えるのか使えないのかどっちなんだい!!というのが非常に気になります。

 

まずは結論から行きます。

原則としてきれいな土地でなければ引き取ってくれない

つまり、後で要件等解説していきますが、権利関係や物理的にもきれいな状態(使いやすい状態)ではないと国庫帰属はできないということになります。

相続土地国庫帰属制度の要件

まずは以下の3要件が必要です。

①土地のみが対象

土地のみが対象ということなので当然建物は含まれないということになります。

建物については解体してしまうこともできるので、国庫帰属制度にはなじまないということになるでしょう。

②相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により取得したもの

売買や贈与によって取得したものを国庫帰属されることは不可となります。

③施行前に承継した土地についても可

過去に相続や遺贈で取得した土地についても対象となります。

 

次に、対象となる土地の要件です。

  1. 建物が存在する土地
  2. 担保権等が設定されている土地
  3. 通路など他人によって使用される土地
  4. 土壌汚染されている土地
  5. 境界が明らかでない土地
  6. 崖がある土地
  7. 工作物、車両、樹木が地上にある土地
  8. 地下に除去すべき有体物がある土地
  9. 隣人とのトラブルを抱えている土地
  10. 1~9までに掲げる土地のほか、通常の管理または処分をするにあたり過分の費用または労力を要する土地

つまり、境界が確定していて、権利関係がきれい、土地の上に何もないようなきれいな土地ということになりますので、

田舎の山林などを放棄したい場合には使えないということが分かります。

相続土地国庫帰属制度手続きの流れ

さて、上記のとおりなかなか条件は厳しいものの、各要件を満たしていた場合の手続きの流れはどのような感じなのでしょうか。

 

まず、申請先は、その土地のある都道府県の法務局の本局の不動産登記部門となります。

支局や出張所では受付不可なのでご注意下さい。

管轄は以下のリンクから確認できるのでご参考まで。

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

法務省HPより

 

承認申請後の流れはこの図のとおりです。

承認申請→法務大臣(法務局)による要件審査、承認→申請者が10年分の土地管理費相当額の負担金を納付→国庫帰属となります。

 

なお、審査手数料は土地一筆あたり14,000円で申請書に収入印紙を貼って納付することになります。

 

発生する費用としては他にも、

10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付しなければなりません。

負担金算定の具体例は以下の図のとおりなので参考にしてみて下さい。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239525

e-GOV パブリック・コメントより

相続土地国庫帰属制度以外の不動産の放棄方法

以上のとおり、相続土地国庫帰属制度は要件を満たしていれば一定の手数料を負担すればいらない土地を放棄することができるのですが、要件を満たさないものについては使用できません。

そこで、相続土地国庫帰属制度以外の不動産の放棄方法をご紹介します。

①相続放棄

相続したことを知ってから3か月以内であれば使用できます。ただし、いらない不動産以外にも全ての遺産を放棄しなければなりません。

他にも、自身が相続放棄した後に、次順位の相続人も全員相続放棄をした場合に、不動産の管理責任の問題が残ります。

管理責任の詳細については、以下のコラム記事をご覧ください。

相続放棄した後に誰も相続人がいなくなった場合

https://www.souzoku-machida-sagamihara.com/souzokuhouki/column_sh10/

②共有持分の放棄

対象不動産が共有名義の場合に使用できる方法です。

民法第255条

共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

共有持分の放棄は他の共有者の関与なしに単独でできます。民法255条のとおり、放棄した持分は他の共有者に帰属します。

ただし、登記の名義を変更するには持分が帰属した他の共有者の協力が必要となります。

③不動産会社による負動産の引き取りサービス

インターネットで調べてもらうと、不要な不動産の引き取りサービスを積極的に行っている不動産会社が見つかると思います。

ただし、価値が無いような不動産の場合は、こちらから費用を出して有償でないと引き取ってくれない場合もあります。

また、相続した後などに不動産会社側からアプローチを掛けてこられる場合もあるのですが、原野商法等の詐欺まがいのことをする会社の場合もあるので注意が必要です。

 

以上、今回は相続土地国庫帰属制度とその他の方法について解説しました。

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