無効な遺言

先日、テレビ等でも話題になりましたが、最高裁で遺言の無効判決が出ました。

概要としては、原告Aの父親が書いた自筆証書遺言に、そのほとんどの財産を長男Bに相続させる内容の遺言がありました。

遺言自体は全文自筆で日付、氏名が自署されており、印鑑の押印もあって形式、内容ともに有効な遺言ではあったものの、文面全体の左上から右下にかけて赤色のボールペンで一本の斜線が引かれていました。

この遺言書が有効か無効かということで争われました。

1審2審では有効という判決が出たものの、最終的に最高裁では逆転、無効の判決が出て事件は終了しました。

 

さて、この赤のボールペンで引いた斜線によって最終的には無効の判決が出たものの1審2審ではなぜ有効の判決が出ていたのでしょうか。

民法には、遺言書に修正等を加える行為については、968条2項所定の厳格な方式を遵守した時に限って修正の効力を認める一方で、それが遺言書の破棄に当たる場合には、遺言者がそれを故意に行ったときにその破棄した部分について遺言を撤回してものとみなすとしています(1024条前段)。

この赤ボールペンによる斜線が968条2項の問題なのか、1024条の問題なのかでもめたわけです。

結論としては、遺言書に故意にこういった斜線を引く行為は1024条の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するということになりました。

 

しかし、この一本の線によってもめにもめましたね。

遺言書は本来は、遺言者の死後になるべくもめないようにするのが理想ですが、その内容やこういった行為によって、逆に問題になるケースも多々あります。

 

遺言書を書く場合は我々専門家は公正証書遺言をお勧めします。

公正証書遺言であれば、作成段階で公証人がかかわり、法律的に無効な内容の遺言がなされることはまずありませんし、遺言書の原本は公証役場に保管されるので今回のケースのように遺言書の改変などは起こりません。

また、司法書士に依頼してもらえれば、公証人以外にも我々法律のプロが関わり、より確実な内容なものとなります。

公証役場との手続きも代行して行えますので、遺言者の負担はずいぶんと軽くなると思います。

 

少ない財産だから遺言とか大層なものは必要ないとか、相続人の仲がよいからうちは心配ないとか、本当にそうでしょうか。

確実な遺言書を遺しましょう。

 

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