遺留分
町田の相続,遺言,成年後見,会社設立の専門家,司法書士の佐伯知哉です。
今回は遺留分について書かせていただきます。
遺留分とは
例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、それぞれの相続分は配偶者が4分の2、子Aは4分の1、子Bは4分の1となります。
ここで、被相続人が遺言と配偶者に全財産を相続させると書いた場合であっても、子ABは相続分4分の1の半分にあたる8分の1を相続分として主張できます。
このように、遺留分とは、相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)に保証される最低限の相続分のことです。
なお、相続人の構成によっては遺留分の割合が変わりますのでご注意を(民法第1028条)。
遺言を書く際に注意したいこと
上記のように、たとえ被相続人の最終意思を実現する遺言であっても、相続人の遺留分を侵害することはできません。
多額の財産を持っている場合や、被相続人の生前から相続人間で争いがある場合は、単純に『誰々に全財産を相続させる』という遺言を書いてしまうと、せっかく遺言を書いたにもかかわらず、新たな争いの火種となります。
私は、遺言は被相続人が相続人間での争いを未然に防ぐために絶対に書くべきであると常々主張していますが、安易な遺言は注意すべきです。
遺留分減殺請求
遺言によっても、相続人の遺留分は侵害することはできませんが、遺留分を侵害する遺言が無効というわけではありません。
ややこしいですが、たとえ遺留分を侵害する遺言であってもそれはそれで有効ではあるが、後に遺留分を侵害された相続人から遺産を多くもらった相続人に対して遺留分減殺請求(侵害された遺留分を返せと請求すること)をされることがあるということです。
ただし、遺留分減殺請求は相続及び減殺できる贈与又は遺贈があったことを知ってから1年間行使しないとき、または相続開始の時から10年経過した時は時効によって消滅するので注意が必要です。
遺言を書く際には、遺留分や遺留分減殺請求にも注意する必要があります。
また、遺留分減殺請求の対策として、被相続人が遺言で減殺される財産の順番を決めることもできます。
自筆証書遺言などは、かなりお手軽に書くことはできますが、書いたは良いがその遺言が火種となって余計な争いが生じることもあります。
遺言を書かれる際は、司法書士等の専門家に相談されることをおすすめいたします。