遺言書の内容変更・撤回について

町田の相続,遺言,成年後見,会社設立の専門家,司法書士の佐伯知哉です。

今回は遺言書作成後の内容変更撤回について書かせていただきます。

遺言書の内容変更・撤回はできるのか

できます。遺言者は遺言を自由に内容変更・撤回できます。

遺言書は作成日時の後のものが有効となりますので、新たに遺言を作成することによって、それ以前に作成した遺言書の内容を変更し、または撤回することができます。

前の遺言書と後の遺言書の内容が抵触するようであれば、後の遺言が有効になるということです。

例えば、前の遺言書では『A不動産を長男に相続させる。』、後の遺言では『A不動産を二男に相続させる。』と記載されている場合はA不動産を相続するのは二男になります。

また、前の遺言書と後の遺言書で内容が抵触しなければ、どちらの遺言も有効となります。

例えば、前の遺言書では『A不動産を長男に相続させる。』、後の遺言では『B不動産を二男に相続させる。』と記載されている場合はA不動産を相続するのは長男、B不動産を相続するのは二男になります。

さらに、前の遺言書では『全財産を長男に相続させる。』、後の遺言では『A不動産を二男に相続させる。』と記載されている場合はA不動産以外を相続するのは長男、A不動産を相続するのは二男になります。

その他の遺言書の撤回方法

まず、遺言書を破棄する方法があります。

遺言者が遺言書を故意に破棄したときは、その破棄した部分については遺言を撤回したものとみなされます。

ただし、公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されているため、遺言書を破棄したことにはなりません。

次に、遺贈の目的物を破棄または生前に処分した場合は遺言を撤回したものとみなされます。

例えば、古い建物を取り壊して新しい建物を建てた場合には、遺言は撤回されたとみなされますので、建物を遺贈したいのであれば、新たに遺言を作成しなければなりません。

また、遺贈の目的物を第三者に譲渡した場合も遺言を撤回したものとみなされます。

違う種類の遺言書が複数ある場合

遺言者が、公正証書遺言や自筆証書遺言を複数残していた場合は上記のとおり、後の遺言書が有効となります。

つまり、公正証書遺言の内容を自筆証書遺言で内容変更・撤回できることになります。

遺言の内容が抵触しない部分については、それぞれの遺言書が有効となります。

ですから、早い段階で遺言書を書いた方であっても、年月とともに考え方も変わるでしょうから、都度、遺言を書けばよいのです。

何も一生に一度きりしか書けないわけではありません。

ただし、あまり遺言書が複数になっても残された方は混乱するでしょうし、抵触する部分やそうでない部分に疑義が生じる可能性もありますので、遺言の内容変更や撤回をしたい時は専門家に相談した方が良いでしょう。

 

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